幼児への『右』の説明

舟を編む(2016年TVアニメ)第一話「茫洋」より
⦁ 主人公:馬締光也(まじめ みつや)
⦁ 辞書編集部主任:荒木公平(あらき こうへい)
─  ─
荒木:君は『右』を説明しろと言われたらどうする。
馬締:右。方向としての『右』ですか。それとも思想としての…
荒木:方向の『右』だ。
馬締:箸を使う方と言うと左利きの人を無視することになりますし、心臓が無い方と言っても心臓が右にある人もいるそうですから、体を北へ向けた時、東に当たる方角。

 馬締は『右』は「体を北へ向けた時、東に当たる方角」と答えた。

 ネットでも『右』は以下の説明をしている。

  • 相対的な位置の一つ。東を向いた時、南の方。また、この辞典(岩波国語辞典)を開いて読む時、偶数ページのある側を言う。
  • 正面を南に向けたときの西側にあたる側。
  • 御所(京都)から見て東西に二分したときの西方。

    天皇は北方を背に座するから。相撲でも正面から見て左が東方、右が西方。

 方角を使った説明は試験の模範解答だ。これらの説明で果たして幼児たちに理解してもらえるのだろうか。

「ママ、みぎってどっち?」
「体を北へ向けた時、東に当たる方角だよ」
 と、説明しても、
「国語辞典を開いて読む時、偶数ページのある側だよ」
 と、説明しても、
「きたってなに? ほうがくってなに? こくごじてんってなに? ぐうすうぺーじってなに?」
 と、更に質問が増えそうだ。

 小学校入学間もない頃、担任の先生は教室で生徒を背にして黒板側を向き右腕を上げて、
「先生が手を挙げている方が右です」
 と、教えた。わかりやすい説明だったが、今考えると腕が無い人には不快感を与えそうなので微妙だ。

 わたしは母から、
「右はお箸を持つ方」
 と、教わった。幼稚園児の頃だったがサルではない。左手で箸を持つ人を見て、両手とも右なの!? なんて思うこともなく反対側は左と理解した。馬締が言うように左利きの人を無視した説明だったが、母世代は箸は右手で使うものと教わったので、そう説明したのだろう。左利きは幼少の頃に親から箸は右手で使うよう矯正された人もいたと思う。

 言葉だけの模範解答かつ幼児にも分かり、幼児が幼児に教えられる、非の打ち所がない『右』のうまい説明はないものだろうか。

 ところで、野球の外野は左からレフト(左翼手)、センター(中堅手)、ライト(右翼手)なのに、バッターボックスはライト側が左打席でレフト側が右打席だ。

 ホームベースから見た守備位置とピッチャープレートから見たバッターボックスの位置で左右が逆転するのだが、わたしが子供の頃のTV野球中継はバックネット側から撮っていたので、はじめてTV野球中継を見た時、なんで長嶋が右打ちで王が左打ちなのか、凡庸のわたしは混乱した。

タイトルとURLをコピーしました